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Feature
私達一級建築士でさえ平面に書かれた図面の上で、3次元の立体イメージで使い方を想像するのは容易ではありません。図面を書く段階で動作や使い方をチェックする唯一の方法があります。それが、実物大空間でのシミュレーションです。シミュレーションは服や靴をオーダーでつくる際の採寸だと思ってください。数万円の服や靴でさえ丁寧な採寸をしてからつくります。数千万円の家を建てるのに採寸=シミュレーションなしに家を設計することは無謀すぎます。
シミュレーションする時には実物と同じサイズのトイレ、浴室、キッチン、などを製作します。その空間の中で実際に動いていただくことで細かい寸法を決定していきます。 シミュレーションによって動作を確認するという一手間をかけることで家が完成した時に
「こんなはずではなかった・・・」
「なんでこんなに使いにくいの・・・」
を防ぐことになります。
例えば、手すりをつける場合には家が完成してから現地で確認して位置を決めます。
浴室内のタオル賭けや物置棚なども使いやすくてしかも後で邪魔にならないような位置を慎重に決めてから取り付けます。
トイレではウォシュレットのリモコン紙巻きの位置なども適当につけるのではなく一つ一つお客さまと一緒に相談しながら位置を決めていきます。
単なるウォシュレットのリモコンと言えども仮に1日3回程度使うとしても・・・
1年で千回10年で1万回も使うことになります。
もしも使うたびにストレスを感じたりするとすればそれはとても悲しいことです。
細かいことのように感じられるかもしれません。
でも人生はそういう小さな行為一つ一つで成り立っているのだとも思います。
だから私達はそういう生活の中の小さな事一つ一つをスルーせず最後の微調整を行う事で家を完成させたいのです。
もちろんその逆もあります。
年月が経って今よりももっと動けるようになったりする事もありえます。
結局のところ将来身体機能がどう変化するかを正確に予測することは不可能だと思います。
身体能力に変化が起きた時あわてなくても済むように可能な範囲で予測した設計をすることも私達プロの役割です。
たとえば、今は車いすからベッドへは自分で移乗できたとしても将来その動作ができなくなる日が来るかもしれません。だとすれば、移乗用リフトを設置できるようにあらかじめ補強しておくことは可能です。
今は排泄はベッド上で介助してもらっていたとしても将来トイレに行きたいと思われている方の場合にはその時になって大げさな改造をしなくて済むように設計しておくことも可能です。
また逆に今は車いす移動している方でもリハビリの成果が出て少し歩く練習もできるようになった場合を想定して寝室や廊下などに手すりを取り付ける準備をしておくことも可能です。
今だけOKの家ではなく将来のこともできるだけしっかり考えて先読み設計することで真の意味で長く暮らせる家が実現すると思います。