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車いすユーザーご夫婦のための家

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  • ht様
  • 大阪府

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事例紹介

2016年10月14日 ht様 wrote:

【サニープレイスさんとの出会い】

私たち夫婦は、夫は事故による頚髄損傷、妻は進行性の難病により、

ともに車いすで生活しています。

二人とも、かかとのしっかりとした靴をはいて、頑丈な手すり等を持てば、

少しは立つことはできますが、歩くことは、できるとはいえない状態です。

 

手のほうにも障害があり、夫は右手が使えず、妻のほうは特に左手が振るえ、

重いものを持ったり、細かい作業をしたりすることはできません。

 

そんな二人が結婚するとなったとき、まず問題となったのが、

『どんな家なら二人で生活していけるのか?』

ということでした。

マンションや公営住宅なども考えましたが、車いす2台では狭そう・・・

それに、車いすは中用と外用を使い分けたいから・・・

それだと玄関に2台分の収納スペースが要るな・・・

トイレは、2箇所ないと困るよな・・・等々。

 

そこで、思い切って一軒家を新築することにしたんです。

何社か不動産業者をあたってみたのですが、

なかなかここ!と思えるところがなく、探すのに苦労していました。

 

そんなとき、知人が「気軽に相談に行けばいいから」と紹介してくれたのが、

サニープレイスさんでした。

知人の言葉通りふらっと行ってみると、

『一緒に生活を考えてくれる』というスタイルに、まずはびっくりしました。

それまでのところとは全ッ然、違ったからです。

 

そこで、「ここしかない!」と、お願いすることにしたのです。

 

 

【玄関】

<段差解消機>

普段、仕事のときはもちろんですが、休みの日も、買い物や食事、

映画やコンサートなどに行くのが好きで、よく出かけます。

だから、『外に出るのに不便を感じたくない!』ということが、絶対条件でした。

 

出かける時にスムーズに出られることはもちろんのこと。

でも、もっと大切なのは、疲れて帰ってきた時のことです。

家に入るのに、スロープ上るのはしんどいし、

荷物があったらよけい大変。

そんなしんどい思いばかりしていたら、

だんだん出かけること自体がうっとうしくなってしまったかも・・・。

 

そこで、この段差解消機『もちあげくん』を採用しました。

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ハーツエイコー製 段差解消機 もちあげくん

http://hearts-eiko.com/productsmenu/mochiagekun.html

 

特に定期的なメンテナンスは必要ないし、8年以上使っていて、

一度も故障したことはありません。

そういえば、リモコンスイッチの電池がなくなりかけて、

ちょっと反応が悪い時はありましたが、電池を交換したらそれも解消しました。

ちなみに、電池はいきなり切れてしまうことはなくて、リモコンのランプの色が、

「そろそろ交換してください」と、知らせてくれるようになっています。

 

『もちあげくん』の大きさは、幅が90センチ、奥行きが120センチ。

これくらいあれば、恐怖感は全くありません。

50センチくらい下りるのに、だいたい10秒ほど。

ゆっくりと言えばゆっくり。でもまあ、慣れてしまえば、

気になるほどではありません。

 

上がる時は、ブ~ンっていう音がしますが、

気に障るほどではありません。

下りは、ス~って感じで、ほとんど音はありません。

油圧式のため、動きそのものはとっても安定感があります。

載っていてぐらぐらするってことはありません。

 

『もちあげくん』は、最大250kgまで載っても大丈夫、とのこと。

将来、100kgもあるような電動車いすを使うことになったとしても、

十分余裕があって、安心です。

 

表面が、玄関のタイルと同じ模様なので、下がりきった状態では目立たない、

というところも、お気に入りのポイントです。

だって、玄関の中にこれ見よがしに機械がドーンとあったら、

やっぱりちょっと、イヤですもんねぇ。

でも、段差解消機を使って出入りするのは、夫(と車いすのお客さん)だけ。

2人ともが使ってたら、1人は待っていないといけないことになり、

時間がかかってしかたありません。

来客も皆これを使ってもらう、というのも、不便です。

かといって、50センチの段差をいきなり上がるのは、

健常者でもけっこう大変みたいなのに、妻にとっては、

とうてい不可能なことです。

 

そこで、3段の階段と手すりを設置してもらい、

妻のほうはそちらから、出入りしています。

 

<外用車いす置き場など>

私たち夫婦は、

それぞれが室内用と屋外用の車いすを使い分けています。

 

玄関に2台余裕で入る収納スペースがあるので、

邪魔になることはありません。

これは、設計士さんが提案してくださったものです。

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現在では、妻の屋外用車いすは手動式、電動式と2台あります。

手動式のほうをたたんで、夫の分と合わせて3台、すっぽり収まっています。

ここまでは計算してなかったのですが、このスペースのおかげで、

すっきりとした玄関を保つことができ、本当にありがたいと思っています。

 

ただ、2人そろって外出する場合や、夫が先に帰宅して、

段差解消機を下げ忘れていたときなどに、苦労することもあるんですよね・・・。

なので、解消機の先端部分から玄関ドアまでが、

もう少し広ければよかったのかな・・・とも、思います。

 

 

玄関にはあと、車いすの空気入れ用などにと、

コンセントの差し込み口も2つ、設置してあります。

 

これまた、設計士さんの提案だったのですが、ほんとに大正解でした。

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【カーポート】

私たちの場合、車の乗り降りには広いスペースが要ります。

それに、『気軽に友人に遊びにきてほしい』ので、

もう1台分は確保しておきたい・・・。

ということで、2台は余裕で駐車できる広さにしました。

 

カーポートの床の仕上げはコンクリートで、

勾配はほとんど感じない程度にしてもらいました。

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それから、雨対策もまた重要なポイントです

健常者であれば、さっと傘を差して、ぱっと乗り降りできるけど、

車いすユーザーの場合は、そうはいきません。

屋根がないと、自分の体が濡れるのはもちろん、

積み込むときに車いすが濡れてしまって、

次に車いすに座るときには、おしりや背中がびしょびしょに・・・

なんてことに、なってしまいます。

 

そこで、カーポート全体を屋根でカバーしてもらいました。

 

 

【郵便受け】

車いすの乗り移りに時間がかかるので、ポストが外にあると、

郵便物を取りに行くのが面倒です。

それに、体温調節が難しいので、寒いときにはいちいち、

しっかりとした上着を着込まないと出られないのですが、

それにもまた時間がかかって、さらに面倒・・・。

 

というわけで、新聞などの郵便物が室内からでも取れるように、

郵便受けを設計してもらいました。

届いた郵便物が落ちてしまわないように、

室内側にはちょっとしたカウンターが設けられ、

その上部には小窓が設置されています。

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【トイレ】

妻の実家は、改装もしていない古い家です。

自室は急な階段を上った2階にありますが、

トイレは1階にしかありません。

なので、自分の部屋にいるときや寝る前には、

なるべく水分を摂らないようにしなければなりませんでした。

 

夫の実家は、受傷後に住宅改修したにも関わらず、

なぜか、トイレには車いすのまま入ることができません。

廊下に車いすを置いて、

歩いて入らなければなりませんでした。

 

そんなわけで、トイレのことはかなり慎重に考えました。

 

それぞれのトイレ事情を考えると、1箇所では足りないということになり、

1階・2階とそれぞれに、つくってもらいました。

トイレ内に車いすのまま入ることは大前提として、

ターンするための広さや、

手すりやペーパーホルダーなどの位置を、

何度もシミュレーションして決めました。

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<1階のトイレ>

1階は広めのスペースを確保することができ、

トイレットペーパーのストックなどを収納するスペースも、

設けることができました。

 

その上なんと、ブレーカーボックス(分電盤)まで、

この中にあるんです!

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停電などでブレーカーが落ちたとき、

一般的な高さ(天井に近い位置)にあると、スイッチを触ることができません。

このブレーカーは、私たちが操作することも想定して

低い位置についてもらっています。

 

こんな細部にまで気付いて提案してくれるなんて、

ほんとにすごい!と思いました。

実際に何度か、必要となるシーンは訪れました。

ここはほんとに、自分たちはまったく気がつかなかったところなので、

とても感心させられました。

 

<2階トイレ>

2階はそれほど広いスペースは取れなかったのですが、

手洗い(洗面台)の下のスペースを利用すれば、

うまく出入りすることができます。

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省スペースながらも車いすのままで使用することができるので、

飲食店や宿泊施設などでも、このようなトイレを採用してくれたらいいのに・・・、

なんて思います。

決して、ドーンと広いトイレでなくても、

少し広めで工夫された空間があれば、

私たちのように車いすで使える人もたくさんいるはず。

そんな発想から、もっとユニバーサルな社会に近づいていくんじゃないかって思います。

 

この2箇所のトイレのおかげで、水分摂取をガマンする必要なんて全くなく、

とても快適に暮らすことができています。

友人が泊まりにきてくれたときなど、お酒をたくさん飲むこともあるのですが、

何の心配もなく、楽しい時間を過ごすことができます。

 

私たちのように身体に障害を持つ者にとっては、

トイレが最も“障害”となる部分です。

この家では、その“障害”は、ありません。

これほど大きなことはないと、思っています。

 

【浴室】

 

入浴時の動作としては、まず、

洗面所の脱衣スペースに車いすを置き、

手すりを使って浴室入り口の際に置いてある

シャワーチェアに移り、そこで体を洗います。

浴槽に浸かるときには、

浴槽に渡したボードに移乗し、片足ずつ持ち上げて入る、

という方法をとります。

このシャワーチェアの高さが、浴槽のへりとほぼ同じなので、

ラクに移ることができます。

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夫のほうが浴槽に入るには、

このようなボードを使う方法は無理だと思っていたことと、

ユニットバスの形状が、ストレートなタイプのものがほとんどなく、

ボードを使うことができそうになかった、ということもあり、

タイルで造りつけてもらっていました。

 

設計士さんと何度もシミュレーションを繰り返し、

手すりの位置や洗い場のスペースなどを決めていきました。

浴槽は小さく、横には現在使用しているボードの1.5倍ほどの幅の、

腰掛けスペースを設けていました。

 

2人とも体温の調節が難しいので、

洗面所と浴室内それぞれに、

暖房システム(三乾王)も導入しました。

浴室用のほうには、“換気”機能もついているので、

窓の開け閉めがタイヘン、という問題点も、

これで解消することができています。

 

【キッチン】

主にキッチンを使用するのは妻のほうです。

私(妻)は、手にもマヒがあり、

力はあまり入らないし、

細かい作業は手が振るえるし・・・と、

調理作業はかなり大変だろうと思われました。

 

実家はとても自分でできる環境ではなかったし、

リハビリセンターの調理実習でも、

車いす仕様になってはいたのですが、

お鍋や食器を運ぶなどの作業は、

私にとってはものすごくタイヘンだったんです。

そんなわけで、自分でもどんなふうにすればよいのか、

いまいちイメージすることができずにいました。

 

でも、設計士の岡村さんは、実際にセラピストの先生も立ち会っての、

調理実習の機会まで用意して、一緒に考えてくださいました。

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どうすれば移動しやすいか、

野菜を切ったり、炒めたりするのに、

どの高さなら力が入りやすく、

どうすれば身体への負担も抑えられるのか?・・・など。

 

おかげで、とても使いやすい、

自分サイズのオーダーキッチンが完成しました。
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調理台は左から、シンク⇒調理台⇒コンロと、

一列に配置しました。

車いすでは横方向の移動ができないので、

事務イス(キャスター付)で、作業しようという事になりました。

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この事務イスには、背もたれやアームレスト、

それにブレーキまでついているし、

油圧式で高さを変えることもできます。

しょっちゅうあることなんですが、

何かを落としたりこぼしたりしたときには、

低い位置まで下がることができるので、とても便利です。

 

<食器棚>

キッチン周りの収納も、すべてオーダーメイドです。

 

家電製品置き場は、設計段階で

オーブントースター、食洗機、電子レンジ、電気ポットなど

それぞれの設置場所を決めました。

もちろん、高さは私たちが使いやすいように

すべて低い位置に置けるようになっています。

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市販のものはほとんどが、高いところにも

置くような設定になっていて

座ったままでは使えないからです・。

 

床から20センチくらいまでが空いているので、

車いすの時の足先がひっかからず、

移動やターンも、楽にできるようになっているんです。

 

調理台からクルッと振り返れば、ボールなんかをすぐに

取り出せるようにもなっているのも、便利なポイントです。

 

さらに、取っ手などの細部にまで、配慮されています。

スペースを考えて、引き戸にしたのですが、

軽い力でスムーズに動かせます。

取っ手は、凹みに指を添えて開閉するタイプだと、

うまく開けられなかったり、指をはさんでしまったりするのでは・・・と、

とことん打ち合わせを繰り返しました。

 

引き出しや扉毎に、C字型やコの字型と、

ある程度はカタログで選んでから、

サンプルを取り寄せてもらい、

滑りにくいかどうか、

指が痙性(けいせい)で挟まったりしないかどうか・・・などを、

徹底的にシミュレーションした上で、設計してくださいました。

最後のほうなんて、当人である私が、

そこまでしてくれなくても・・・なんて、

思ってしまったぐらいでした。

それぐらい念入りに、造ってくださったんです。

 

おかげで、デザイン性・機能性ともに、

とってもお気に入りの食器棚が、完成しました。

正直、けっこうな費用はかかったんですけど、

これがなかったら、料理なんてしてなかっただろうな・・・。

(いまでも、“料理“と呼べるようなものは、めったにしてないんですけどネ。)

 

 

<コンロ> 換気扇のスイッチは、座っていてもだいじょうぶ。

リモコンで、強・弱・切・点灯/消灯の操作が、

ちゃんと行えるようになっています。

 

当初は、電気とガス併用コンロでした。

座ったまま調理するということで、火を使うのは危ないのでは・・・?

でも、IHにすると使える鍋類が限られ、

重いものを持てない私の手にはちょっと・・・。

ということで、電気コンロとガスコンロを2口ずつ、

つけることになったんです。

 

国産のものは必ず、“魚焼きグリル”がついていて

膝が入らないということで、ドイツ製のものになりました。

でも、このドイツ製のは、

操作つまみがコンロと同じ面についていて熱い上、

指の力があまりないので操作が難しく、慣れるまでは苦労しました。

 

あまり火加減もいらず、

鍋を動かすことも少ない煮物などは電気コンロ、

炒め物などはガスコンロ、といった使い方をしていました。

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<配膳> 食事は作って、なんとか盛り付けも終わった・・・ハイ、完成!

というわけには、いきません。

まだ、“配膳”という、大きな仕事が、待っています。

でもこの、盛り付け⇒配膳、という作業が、

調理動作の中で一番の難所だったりするんですよね。

私(妻)にとっては・・・。

 

この難所を、どうやって切り抜けるか?を、

設計士さんと一緒に、さんざん悩みました。

盛り付けは、コンロの下に、

収納兼、引き出せば作業台にもなるという、

機能性抜群のワゴンを作ってもらうことになりました。

そこだと少し低くなるから、なんとかできるだろう、ということで。

 

そして配膳は、対面式カウンターと、

専用ワゴンを使用する、という案に、たどり着きました。

普段の、2人分だけのものなら、

キッチン側からカウンターに置き、

それをリビング側からテーブルに下ろします。

来客のときなど、普段より運ぶものが多いときには、

設計士さんお手製のワゴンを使用します。

足先が入るように考えられ、歩行器のようにして使えるように

作られたワゴンです。

いまは歩くことは難しくなりましたが、

車いすでも押しやすく、とても重宝しています。

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<ワゴン> キッチンでは、ワゴンが大活躍しています。

 

シンクや調理台の下を

膝が入るように空けてしまうと、

どうしても収納スペースは減ってしまいます。

我が家では、調理動作は、電動スライサーなど、

何かと器械に頼ることが多いので、細々とした道具が多いんです。

しかもそれらは、できるだけすぐ届くところにあってほしい・・・。

 

こんなわけで、このワゴン達、ほんとに重宝しています。

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<昇降式床下収納> 瓶などの重いものを収納するところが欲しくて、

電動で昇降する床下収納を設置してもらいました。

 

普通の床下収納だと

低すぎて私たちが使うことはできませんが、

この既製の電動床下収納庫のフタは、中の箱と分かれていて、

4kgもあるのに、持ち上げて立てかけないといけなくて、すごく大変でした。

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そこで、フタに金具をつけ、写真のように作り直してくださったので、

調味料の大きなビンや、お酒などをしまうのに、頻繁に使っています。

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<生ゴミシューター> 生ゴミを捨てるのに、ゴミを持っていちいち外に出るのは大変、

ということで、室内にいながら外のポリタンクにゴミが捨てられる、

“生ゴミシューター”を設置しました。

カンやビン用にもう1つ、

リビングのほうにもついていて便利です。

室内からゴミを出すときに、悪臭が上ってくることがないように、

簡単な換気システムまで、備わっています。

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<勝手口> ゴミ出しは、この地域は各戸へ収集に来てくれます。

ということで、路地に面した西南角に、ゴミを出しておきます。

 

勝手口から外に出て、生ゴミシューターのゴミ袋をしばり、

配膳用と同じように作ってもらったワゴンにのせて、

これを歩行器代わりにして、5メートルほどゴロゴロと移動し、

帰りはフェンスを手すりにして戻る、というやり方で、ゴミを出していました。

 

当初はこちら側に雨よけなどはなかったのですが、

カーポートのように後から、横スクリーンをつけてもらいました。

冬に雨に濡れながらの作業は、

すぐに風邪をひいてしまう・・・などと、とてもタイヘンだったんです。

 

新しくつけていただいた、雨よけのおかげで、

大雨の日でもほとんど濡れずにすむようになりました。

 

でも、生ゴミシューターが資源ゴミ用になってからは、

玄関から車いすで(主に夫が)出しに行くようになりました。

“歩く”といっても、どうにかこうにか、なんとかやっと・・・、

といった状態なので、現在は大雨の日だけ、

妻が勝手口のほうから出しています。

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“ゴミ出し”も、重要な家事のひとつ。

家を建てるときに、ここまで考慮していただいたことは、

本当に大切なことだったんだなと、痛感しています。

 

 

<和洋室>

和洋室って、旅館みたいに・・・ってカンジですが、

我が家の和室は、まさしくそんな造りになってるんです。

 

入って右側の3畳分だけ、床から40センチほど上がっていて、

そこだけが畳敷きになっています。

ちょうど車いすからトランスしやすい高さになっているので、

普段はここで、テレビを見ながらストレッチをしたりしています。

そのためにマットレスを敷いているのですが、

友人が泊まりにきてくれたときには、

“畳ベッド”として使ってもらったりと、大活躍です。

 

歩いて上がる人用に、少し階段をつけ、手すりも設置しました。

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<エレベーター>

我が家は2階建てですが、2人とも車いすということで、

エレベーターを使用しています。

 

このエレベーターの対価重量は、200kg。

車いす1台と、あと2人くらいなら、一緒に載ってもだいじょうぶ。

遊びに来た小学生たちは、車いすの周りに5人、

ギュウギュウにではありますが、なんとか入ってました。

 

室内用車いすは、小回りが利くように、

タイヤサイズは外用よりもひとまわり小さめにしているので、

これだと中でターンすることもできます。

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ボタンの操作で、3分間開きっぱなしの状態にすることもできるので、

掃除のときや、大きい荷物を運び込むときには、便利な機能です。

 

定期点検には、我が家は年に2回のコースをお願いしていますが、

利用する人が1人だけとか、使用頻度が少なければ、

年1回コースでも十分です、とのことでした。

 

<階段>

私たち2人は、エレベーターを使用しますが、

停電とか故障といったハプニングのことも考えないといけないし、

お客さんに使用してもらうことも考えて、階段も設置しています。

 

とても緩やかで、手すりの位置も、

しっかりとシミュレーションをした上で、取り付けてもらいました。

取り付け位置は、けっこう高め。

このほうが、ほとんど歩けない私たちの場合は、

身体を引っ張ってもらえてラクなんです。

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そして、玄関周りは明るくしたかったので、

吹き抜けの玄関に加え、階段の踊り場に、

大きな窓をとってもらいました。

おかげで、北側にもかかわらず、

日当たりも風通しもよいのですが、

完成当初は鍵に手が届きませんでした。

健常者でも、165センチくらいはないと無理、といった状態。

 

そこで、鍵を開閉するためのバーを、取り付けていただきました。

これなら、簡単に開閉できるので、

けっこう背の高いヘルパーさんでも、みんなこれを使用されています。

 

5月頃からは暑くなるので、

なるべく窓を開けるようにはしているのですが、

階段の上り下りはけっこうハード。

なので、妻のほうが開けたとしても、

閉めに行くのはじゃんけんで負けたほう・・・なんて、よくやっています。

 

 

【寝室】

三角の天井は杉板張りで、節模様がいっぱいの、

山小屋を思わせるような造りになっています。

「どんな雰囲気の家にしたいですか?」

と、初めに訊かれたとき、

いまいちはっきりとしたイメージはなかったのですが、

「スイスの山小屋がいいなぁ~・・・」なんて、呟いたんですよね。

それを、デザイナーさんが形にしてくださったんです。

 

壁紙はウッドチップ入り、フローリングはむく材・・・と、

ナチュラル感あふれる、暖かい雰囲気になっています。

ここは、2人ともにとって、とても安らげる、

部屋でいうと一番のお気に入り、でもあります。

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ちなみに、ウッドチップ入りの壁紙は、

寝室奥の夫の仕事スペースと、洗面所と1・2階のトイレ、

LDKにも、使用しています。

部屋によって、塗装なしのままにしたり、

塗料の色を変えたり、しています。

 

ウッドチップが入っていることで、湿度をうまく調節してくれるとか。

張り替えも、15年だったか20年だったかは必要ない・・・という、

とても機能性の高い壁紙だそうです。

 

そう言われてみるとやっぱり・・・、って思うのですが、

予算の都合で断念した、

2階洋室などの普通のビニールクロス張りの部屋は、

なんとなく空気が違うような・・・。

いつか余裕ができたら、全部こちらのほうに替えてもらいたいな、

なんて思うくらい、これもとても気に入っています。

 

 

<電動シャッター>

雨戸は、開け閉めの動作が難しいため、

電動シャッターにしました。

そして、設計士さんの提案で、

朝、ベッドの上からでも光を取り込めるように…と、

東側はリモコン付きにしました。

 

この東側の電動シャッターは、リモコンで操作できる上に、

時間で開閉予約する機能もついているので、とても便利です。

これは、リビング南側の、大きな出窓のところにも、採用しています。

出窓の奥ということで、手動で開閉するのは難しいからです。

(ちなみに、2階洋室にはシャッターはつけておらず、1階和室のは手動式です。)

 

 

電動物干し>

洗濯物は、だいたい室内の大きなタオル掛けのようなものにかけて干し、

天気のよい日はそれをサンルームに出す、という方法で乾かしています。

でも、夫はひどい花粉症なので、その季節などはサンルームへは出せません。

 

そんなときに役立つのがこの、電動物干し『干し姫様』です。

ズボン類などを干すのに使います。

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高さがリモコンで調節できるため、

使いやすい位置まで下ろしてハンガーをかけ、

その後は天井近くまで上げておけるので、とても便利です。

 

【サンルーム】

“洗濯物を干す”ということを考えたとき、まず思い浮かんだのはベランダ。

この家の場合、一番日当たりがいいのは、寝室の南側・・・と、

ここまではすらすら~っと、イメージすることができました。

でも、その先にはまだ、壁があることに気付かされました。

 

あっ、どうやって外に出よう・・・?

車いすから降りて、段差をまたいで出る?

洗濯物は、運べるんかな・・・?

靴履き替えるなんて面倒だなぁ・・・。

その前に、そんな長いこと立って作業なんて、できないよな・・・。

 

じゃあ、段差をなくして、車いすのまま出ればいいんだ!

と、ここまでたどり着いたのですが、今度は車いすが汚れるなぁ・・・と。

 

そこで、最終的にたどり着いたのがこの、サンルームという案。

バルコニーと寝室の間の段差をなくし、

一つの部屋のようにすることにしました。

それだけでは雨やホコリを防げないということで、

全面に囲いをつけることになったのです。

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一般的なバルコニーの壁の上部が、

アクリルで覆われ、温室のようになっています。

天井には専用の棒で開け閉めできる、

すだれの日よけがあるので、

日が当たりすぎることのないように、調節することもできます。。

窓もあるので、風通しをよくすることだって、できるんです。

 

床は、寝室の天井と同じ杉のむく材で、ウッドデッキのようにしました。

吹き降りのときに窓を閉め忘れたら、傷むのではないかと、

ちょっと気になったのですが、そこはさすが、建築のプロ。

基礎はベランダとして、

雨などの排水設備も整えられているから大丈夫、とのことです。

 

シーツなどの大きい洗濯物は、ヘルパーさんに干してもらうのですが、

ここだとすぐに乾きます。

反対に、あまり天気のよくない日でも、

雨が降ったら窓を閉めればよいので、

干しっぱなしにしておくことも、できるんです。

 

夫は、基本的に家で仕事をしているのですが、

冬場なんて特に、お昼休みにはここに出て、

ボ~ッと気分転換・・・なんて使い方も、しています。

 

 

このサンルームは、予算の都合で相当悩んだのですが、

思い切って造ってもらって、大正解でした。

ライトもついているので、

こんな窮屈な住宅街の一角じゃなかったら、

ここでお茶でも飲みながら、のんびりと本を読む・・・なんて、

そんなことできたらサイコ~なのになぁ・・・、なんて思うくらいです。

 

2人ともにとって、とてもお気に入りの空間です。